前回紹介した枚数変動枠がどういう役割かを考えていきます。

・思考囲い
ハンデス。ライフ消費があるが、このデッキでは光輝の泉などのライフゲインである程度カバー可能。ただし、ビートダウン全盛の環境では、1枚落としたところで次々と戦力が投下されるため、囲うよりインスタント除去でテンポを取った方が良い場合も。コントロールミラーなどで重要になるのでメインなら2枚、またはメインにとらずボードに3、4枚というのが一般的。

・軽蔑的な一撃
4マナ以上カウンター。これ自体は軽いのに序盤には打てないという矛盾を抱えています。しかし、ある程度制圧した後の反撃カード、特に消さないとアドを稼がれるエルズペスやソリン、包囲サイをテンポよく消せるのは嬉しい。2枚採用が多くみられるが、人によっては否認を優先していることも。

・信者の沈黙
追放除去。マナがあれば複数除去可能。もっとも、ビートダウンが青黒コンを相手に不用意にクリーチャーを複数展開することはないので単体除去と割り切ってOK。このデッキが苦手とするラクシャーサの死与えに対処できるのが嬉しい。英雄の破滅を序盤に使ってしまった場合の、サルカンケアにもなる。大抵1枚は採用されており、アブザンアグロを意識するなら2枚採るべき。

・悪夢の織り手、アショク
ビートダウン相手には実質ライフゲインカードとして働くPW。もちろんクリーチャーが奪えればおいしいが、相手に英雄の破滅や稲妻の一撃をこのカードに使わせられるなら十分。後のウギンが生き残りやすくなったり、ライフが稼げる。ただし、英雄の破滅を構えているであろう相手に出すのは得策ではないので、せめて相手のメインでそれらを使わせると、テンポも奪えるカードとなる。そのため、無理に3ターン目に出す必要もない。また、華やかな宮殿があればアブザン相手のラクシャーサ、ティムール相手の凶暴な拳刃の能力は起動できる。また、マルドゥやジェスカイの魂火の大導師、大いなる狩りの巫師はデフォルトで能力を起動できるので、奪うという選択肢自体も追い風が吹いている。
一方、コントロールミラーではスーパー石臼。カウンターと英雄の破滅さえかいくぐれば勝利は確定。そういった意味で、ビートとコントロールどちらにも有効なので採用率は高い。メインに入れるなら2枚か3枚はよく入っているが、ボードのみに抑えられることも。

・命運の核心
青黒コンを使うとわかることだが、このカードは単体除去。どのデッキも序盤のクリーチャーが強く、それらに対し胆汁病やカウンターを使わずに核心までひきつける、といったことができない。相手からすればラブルマスター1体、ラクシャーサ1体あれば勝ててしまうのだから、基本的に相手は複数並べてこない。そして、このデッキでは5マナの単体除去で十分。全体除去になりうるカードとしての認識で問題ない。あるいはメインでも使いやすい悲哀まみれとでも思った方がいい。当然ながら全体除去をしなければならない場面でも、危険な櫃より取り回しが利く。2枚は採っているリストが多い。逆に、前述のとおり単体除去としての運用も多いので、4枚はいらない。

・危険な櫃
命運の核心の登場でお払い箱かというと、そんなことは全くない。ソリン+トークンやエルズペス+トークンといった組み合わせはもちろんのこと、ウィップ系のエレボスの鞭、赤白系の前哨地の包囲、アブザン相手の怪物化ライオンや再生ラクシャーサまで持って行けるこのカードはいまだにメインに積む余地がある。メインに1、2枚採っているリストが多く、人によっては櫃を3枚核心を2枚なんて人もいる。

・ジェイスの創意
ディグに次ぐアドバンテージカード。良質なインスタントドローということで、採用率は高い。FRF参入前は3枚が主流だったが、ウギンという良質なフィニッシャーが増加したことによりドローの必要性がわずかに薄まったためか、現在では2枚が多い。使っているとあと1枚欲しいかも、と思うことはよくある。

・2枚目のウギン
出せば勝ちのウギンも、このデッキに限っては腐っていた英雄の破滅を有効利用されることも多いので、そういった意味での増量は考えられる。もちろん、8マナと重いことには変わりないので、ウギンを増やすのではなくほかのPWを多めにとるといったアプローチも考えられる。

・リリアナ・ヴェス
FRF前はメインに1枚あるパターンも多くみられたが、FRF後はめっきり見なくなっている。しかし、ウギンが投入される今こそリリアナが強いと個人的には思う。リリアナでウギンをサーチすることで、事実上ウギンを2枚体制にでき、さらにそのリリアナに英雄の破滅が打たれることには何の問題もないからである。もちろん、撃たれなければそのままハンデスで手札を縛れる。最低限ジェイスの創意やディグをサーチするだけでもアドバンテージが確定するので、意外にかみ合うカード。

・漂う死、シルムガル
古きものとともに1枚投入されているのをよく見かける。除去されず、トークンに強いが、これが出るころにトークンが残っているかというと怪しく、結局フィニッシュ用に古きものやウギンを追加することも多い。実際に入ってないリストも入っているリストと同じくらい目にする。


続いて、たまに見かけられるカード。

・悲哀まみれ
基本的にボードにフル投入されているが、たまにメインに1枚入っていることも。マルドゥや赤白、シディシに対しては軽量のラスのようにも機能するので、それらを意識するならメインに入れる選択肢も。ただし、アブザンと当たると2、3ターン目のラクシャーサしか落とせないゴミと化す。

・無効化
クリーチャーカウンター。弱いリムーヴソウル。うまくすると後手で相手のラブルマスターをカウンターできる。また、解消を取っておきたい場面、包囲サイのドレインがつらい場面などにも機能する。ただし、胆汁病のBBと解消のUUをそろえたいこのデッキで、序盤の無効化が構えられる可能性は低め。採用にしても1枚が限度。ちなみに軍族童の突発を打たれると無力感にさいなまれる。

・雲散霧消
5枚目の解消。探査を妨害できる可能性があるだけ取り消しよりはマシ。どうしてもカウンターがあと1枚欲しいといった場合に無効化と選択で投入される。このあたりになると、好みの問題になりがち。



こういった青黒コンの採用事情を踏まえて私が組んだのが、以前FNMで使った青黒コンです。


土地 27
4:《欺瞞の神殿/Temple of Deceit》
4:《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》
1:《華やかな宮殿/Opulent Palace》
1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
6:《島/Island》
4:《沼/Swamp》
3:《光輝の泉/Radiant Fountain》

クリーチャー 1
1:《真珠湖の古きもの/Pearl Lake Ancient》

プレインズウォーカー 5
3:《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》
1:《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》
1:《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》

アーティファクト 2
2:《危険な櫃/Perilous Vault》

インスタント・ソーサリー 25
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
4:《胆汁病/Bile Blight》
4:《解消/Dissolve》
4:《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
2:《信者の沈黙/Silence the Believers》
2:《ジェイスの創意/Jace’s Ingenuity》
3:《命運の核心/Crux of Fate》
4:《時を越えた探索/Dig Through Time》


サイドボード 15
3:《思考囲い/Thoughtseize》
2:《否認/Negate》
2:《ファリカの療法/Pharika’s Cure》
2:《研磨時計/Grindclock》
3:《ジョルベイの闇潜み/Jorubai Murk Lurker》
3:《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》


その日の感触でいえば、メインリリアナはとても強かったです。

現環境では唯一といってもいい骨太なコントロール、青黒コン。ふとコントロールを使いたくなった時オススメなデッキです。特に、RTR+THS期の青白系の(というかスフィンクスの啓示の)ような理不尽さがなく、ギリギリまで油断できない、まさに青黒コンといった感覚を味わえます。ビートダウンに飽きた、我こそはコントロールジャンキーという方は改めて青黒コンを考えてみてはいかがでしょう。


「なんでこのカード入れたの?」「このカードはどう?」なんて意見がありましたらガンガンコメントしていただけると嬉しいです。環境理解にもつながるので。

コメント

(捕)halさん
2015年2月19日20:17

俺は解消と一撃4枚ずつとっちゃうけど実はあんまりいらないのかしら

カンスリ
2015年2月19日21:00

序盤に引きたくないと思って、3枚以上入れたことはないんですけど、4枚だとどんな感じですかね?調べると4枚のリストもそこそこあるんですよねー。

(捕)halさん
2015年2月19日21:26

2マナ、3マナは除去打って4マナ目に胆汁撃ちつつ構えるとか5マナでアショク出して胆汁、一撃構えるイメージなので。この手のデッキ使う気あまりないので正しいかわからんけど。

4マナのカード入ってないデッキもないしあまり腐らないかな~と。
自分で組むなら否認サイドにとってジェスカイトークンには二枚一撃と取り替えかな。

まだ小物
2015年2月19日21:36

先手三ターン目のラブル捌くのに黒黒必要なのがやなので、阻まれた希望入れた人間が通りますよ。
因みに悲哀まみれと、蔑み3入ってたはず。

翠なんです。
2015年2月20日15:15

はじめまして、リンクさせていただきます。
青黒コントロールを組んでみたいと思っていたので、とても参考になります。
今だと置物が多く、自分は危険な櫃を3枚は積みたいと思いますね。

カンスリ
2015年2月21日0:07

>halさん
4マナ以上のカード自体は多くないのがちょいキツイとは思います。でも命運の核心は結構サイ1体ストームブレス1体に撃つから、そういう意味では一撃優先も全然あるとも思いますね。

>まだ小物さん
先手3ターン目のラブルはいうてトークン1体残して後手3ターン目でダウンフォールでもいいと思いますけどね。そして追加されてようやくラスを撃つイメージ。

>翠なんです。さん
リンクありがとうございます。相互リンクさせていただきます。
これまで櫃を積みたくない相手だった赤白やマルドゥに包囲が入っている以上は櫃が必要になりますよね。ウギンもいるとはいえ8ターン目以降では間にあわないことも多いですし。

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